違法薬物の毒性による危機への対応
違法薬物の毒性による危機は、毎月何百人ものブリティッシュ・コロンビア州住民の悲劇的な死という形で現れています。パンデミックの間、薬物検査サービスは、違法なオピオイド(opioid)や鎮静剤を含むその他の汚染物質からも、強力なオピオイド類似物質であるフェンタニル(fentanyl)の検出量が増え、より毒性の高い違法薬物が出回っていることを指摘していました。
違法薬物の成分は、致命的な過剰摂取の可能性を高めるため、大きな懸念材料です。規制された代替手段がない限り、この公衆衛生上の緊急事態に完全に対処し、命を救うことは困難です。VCHでは、連邦政府や州政府と緊密に連携し、過剰摂取のリスクが高い人向けの代替医薬品の導入に取り組んできました。
代替処方品には、特定の処方箋オピオイド級の、品質が分かっている粉末、錠剤、バイアル、パッチがあり、臨床的に監視される環境で提供されます。その例として、カナダ保健省(Health Canada)の資金援助を受けて2021年に開始したVCHのパイロットプログラム、「緊急対応用の安全な代替薬物(Safer Alternative For Emergency Response, SAFER)」があります。
SAFER
バンクーバーのダウンタウンイーストサイドにあるSAFERは、PHS地域サービス協会(PHS Community Services Society)とBC薬物使用センター(B.C. Centre on Substance Use)により共同で運営されており、臨床モデルを用いてフェンタニル入り製品を利用者に提供しています。
医薬品級オピオイドを処方するだけでなく、利用者を地域の治療、ハームリダクション、回復支援へとつなげる橋渡しをします。さらに、北米初の監督消費施設、インサイト(Insite)という代替え医薬品提供プログラムもあります。この施設では、ハームリダクションサービスを求める利用者の一部に処方するフェンタニル製剤の量を増やしています。
SAFERとインサイトの利用者へのケアから得られた知見は、代替え医薬品をより広くコミュニティに提供するためのエビデンスとなります。この取り組みは今も続いていますが、コミュニティヘルスセンターや他のVCH出資拠点など、他の多くのVCH施設でも薬物を使用する利用者に処方箋フェンタニル・パッチを提供しています。このような取り組みにより、利用者が違法薬物に手を出す必要性を減らし、過剰摂取のリスクを低減することができるのです。
こうしたサービスの進歩は、予防、ハームリダクション、治療、回復サービスとともに、VCHの違法薬物の毒性による公衆衛生の緊急事態への対応に不可欠な要素です。これらのサービスを通じて、回復途上にある利用者と接し、命を守るために不可欠な医療サービスを積極的に利用してもらうことができます。