VCHの予防接種キャンペーンによるインパクト
新型コロナウィルス感染症(Coronavirus Disease of 2019, COVID-19)世界的流行の傾向はこの1年で変化しましたが、蔓延を抑制するツールとしてのワクチンの重要性は増す一方です。予防接種は、VCH公衆衛生チーム、そしてVCH全体にとって、引き続き最重要な課題です。
2021年は12歳以上のVCH管轄内の住民にCOVID-19ワクチンの第一回目接種を行うことに重点が置かれていましたが、2022年のキャンペーンはより幅広く、また複雑になりました。COVID-19ワクチンの接種対象を乳幼児に拡大し、12歳以上の方にはブースター接種を実施しました。
また、世界的流行が始まった年に休止していた、学校での定期小児予防接種クリニックを再開しました。児童の大半が、ポリオ(polio)、ジフテリア(diphtheria)、麻疹(measles)、風疹(rubella)などの感染症や病気から守る重要な予防接種の遅れを取り戻すことができました。
2022年に最もインパクトのあったのは、エムポックス(サル痘)(monkeypox, mpox)蔓延を防ぐ予防接種キャンペーンでした。5月中旬、アフリカ特有のウイルスの一種の感染が、カナダを含む、従来は流行していない70か国以上で確認されました。この世界的な発生における感染のパターンは、主にヒトからヒトへの性行為に伴う感染であり、確認されている症例のほとんどが男性と性交渉を持った男性です。
3か月間に2万本以上のエムポックスワクチンを提供
BC州では6月上旬に、VCH管轄地域で初のエムポックスの症例が確認されました。プライドシーズンが間近に迫る中、VCHのエムポックス集団発生対策チームはBC州疾病対策センター(BC Centre of Disease Control)、コミュニティベースの組織などと緊密に連携し、3か月間にわたり2万本以上のエムポックスワクチンをクリニック、バー、性的接触の起こる場所(sex-on-premises-venue)、ビーチ、公園、バンクーバーのプライドフェスティバルでリスクのある方々に提供しました。
VCH公衆衛生チームの症例と接触者の追跡調査とともに、感染拡大のリスクが最も高いグループへ早期ワクチン投与により、感染を減らし、重症化を防ぎ、より広い感染リスクを限定することに成功しました。BC州で報告されている症例数は190例(VCH管轄地域内151例)に留まっており、ウイルスの伝播率水準が低かったことから、2023年1月に地域のエムポックスの終息宣言が出されました。ワクチンシリーズ投与の開始または完了を希望する方、リスクのある該当する個人は、引き続きこのワクチンを接種することができます。最大の保護効果が得られる推奨接種回数は2回です。